迷信と民間療法
「釘抜地蔵」 | 京都千本通 |
昔、「丑の刻参り」といって、他人を呪い殺そうとして、藁人形を杉の木などに五寸釘で 打ち付けて祈るという風習があったが、この考えからして病気はすべて釘を身体に差し込んだ ようなものであると考えてそれを治癒するのに釘抜で釘を抜いてもらうことを祈って、 小さな釘抜を額にして奉納するものがある。 |
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「石切剣大神」 | 大阪府下 |
釘抜地蔵と同じ考えで、一切の病は腹の中に剣が刺さったものであると考え、 紙織や絵馬を奉納する。 |
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「たわし地蔵」 | 東京目白 |
タワシで地蔵尊の体を清めると、それに相当する身体の病気が治癒するという。 | |
「亥の日地蔵」 | 大阪府下中山寺内 |
タワシの代わりに小箒で、地蔵の身体を撫で、さらにそれで自分の身体を撫でる。 これは特に亥の日に行うと効験があるといわれている。 |
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「牛石神」 | 京都北野天神境内 |
病があれば、この牛石神を撫でて平癒を祈り、牛の首輪を奉納する。 | |
「甲斐徳本の墓」 | 長野下諏訪 |
百余歳で没した名医の甲斐徳本の墓がある。墓の傍の小石をひとつ取って来て 痛むところを撫で、あるいはその小石を洗った水を湯にして飲むと効験があると 言い、もし効験の有った時は、小石を二倍にして奉納するので墓の周囲には小石が 山のように積もっている。名医の死後までも治療効果が小石にまで魔力を伝えてる と考えられていた。また普通の石とはすこし形の違った石にも魔力が有るとされた。 京都東寺境内の「撫石」、大阪天王寺境内の「仏足石」、岡山の「題目石」 |
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「紙衣(かみこ)さん」 | 大阪天王寺内 |
「賽頭櫨尊者」の木像の前にある木槌で、その鼻を叩いて祈り、紙衣のお守りを貰って 家に帰り、病人の布団の下に敷く。これは神仏を強迫して病気を治療しようとするものである。 |
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「波切不動」 | 和歌山高野山 |
紙に魔力が有ると思われる文字や絵を書いた物を、病気の時に飲むと治ると言う。 この「波切不動」のお守りは、病気の時、清水でこのお守りの一字ずつ切って飲むと言う。 |
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「たにし不動」 | 埼玉県幸手市 |
断ち物をして祈り、病気を治癒させようとするものであり、タニシを食べる事を断って 病の治癒を祈り、全快すればタニシの小絵馬を奉納する。 |
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「日限(ひぎり)地蔵」 | 京都五条坂 |
日時を限って祈るのも有り、「日限地蔵」は霊験著しいと言われている。 | |
「腰折地蔵」 | 和歌山朽林寺内 |
この石仏は、石仏の腰から二つに割れている。 それで腰痛に悩む者が祈ると効験があらたかであると言われている。 |
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「ほうろく地蔵」 | 東京駒込大円寺内 |
この地蔵は、笠の代わりにほうろくを冠っているので、それにと団子を供えると頭痛がおさまるという。 | |
「閻魔堂」 | 大阪合邦ヶ辻 |
紙のお守りで閻魔の頭を押え付け「ヲンカカミサマイソワカ」と呪文を唱えながら、頭から腕まで擦り付け、 細長い紙で閻魔の頭に鉢巻をして、そのお守りを貰って枕の下に敷いて寝ると頭痛が治るという。 |
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「ぬりこべ地蔵」 | 京都深草 |
この地蔵は三尺の木像であるが、歯痛に効験があると言って参拝に来る人が多い。 特に面白いのは、遠方の人は郵便はがきに願文を書いて送り、痛みが止めばお礼のはがきを出すのである。 |
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「歯神大明神」 | 大阪城付近 |
明治の初年にこの辺の溝の中にいた狐が歯痛を治す事が上手であると言い伝えて祭ったといい、毎月二十一日、 歯痛止めの箸といって杉の木の箸を白紙に包んだのを受けて来て、この箸で一週間飯を食えば良いという。 |
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「十和田神社」 | 秋田十和田 |
この神社の鉄製のわらじを奉納して治癒を祈ると脚気が治るといわれている。 そのほか大阪郊外の「服部神社」のわらじ、そして京都の「黒谷不動」でも足の病にわらじを奉納する。 |
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「住吉神社」 | 大阪住吉 |
歯ぎしりには、この神社の神馬の豆を貰って来て、これを噛むと治るといわれている。 | |
「奴地蔵」(酒飲地蔵) | 東京 |
地蔵は松平三河守の槍持の墓であるが、この槍持は強者でその遺言に「自分は若い時から痔疾で苦しんだから、 自分の墓に詣ったなら痔疾を治してやろう。その代わり痔が治ったら好きな酒を手向けて欲しい」と言ったので 多くの痔疾のものが参拝するようになったということです。 |
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「大岩大明神」 | 京都深草 |
ここは肺病に効験があるといわれている。参拝の途中竹や木の枝に木札に姓名と年齢とを書いたものが沢山結び つけてある。そこで祈願するものは病人と同一年齢の異性のものが奉納した木札を探し求めてこれを神前に捧げ 祈祷し、その木札を持ち帰り病人の床上に置いて祈ると病が治る。そこでお礼には新しい木札を奉納する。 |
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「畠山六郎の墓」 | 鎌倉由比ガ浜 |
この墓に祈願すると咳の病が治るというので、茶を供えて祈り、幟(のぼり)を立てて「畠山大明神」という。 | |
「真田与市の墓」 | 小田原石橋山 |
石橋山合戦の時に与市が大庭景高を組み伏せたが、刀を抜く事が出来ないので家来を呼ぼうとしたが痰が喉に 引っかかって声が出なかった。そうしている内に敵の長尾為宗が来て与市はそれに殺されてしまった。 その時の与市の心情を察して、痰が喉に詰まって殺されたのは残念であろうとその与市の霊に祈ったならば、 必ず治して貰えると信じて痰の病の人がこの墓に願をかけるようになったと言う事です。 |
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「拍子木地蔵」 | 東京深川要津寺内 |
寺に納めてある拍子木を頂いて来て、咳の出る度に咳の数ほど叩くと治るといわれている。 そして治れば、同形の拍子木一本を供えて寺に奉納すれば良い。 |
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「蛸薬師」 | 京都京極 |
昔、その寺僧の老母が病気となり蛸を食べたいと言い出したのでその僧は大そう困ったが人に頼んで蛸を求め、 箱の中に入れて持ち込みました。ところが蓋を開けて見ると蛸は無くて薬師経があったという。 そうして母の病気が治ったので蛸薬師と言った。ところが蛸の頭から連想して禿頭のものはこの蛸薬師に祈ると 効験があると言って詣でるものが多かったそうです。 |
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「三宝荒神」 | 名古屋大須 |
夜泣きには、初め雄鶏の人形を奉納して祈り、効があったときは、さらに雌鶏を奉納する。 これは鶏の夜啼きを小児の夜泣きにむすびつけたまじないである。 |
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「水使神社」 | 栃木足利 |
これは五十部小太郎という豪農の水使女が虐殺されたので、それを憐れんで祀ったのであると伝えられるが、 これに祈願すると下の病が治るといい、女の下脚と赤腰巻を画いた絵馬を奉納するという。 福岡博多の「櫛田神社」では黒衣の下半身を画いた絵馬を奉納するという。 |
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「乳銀杏」 | 仙台 |
乳房状の枝が多く垂れ下がっていて、その傍に蝦母神の祠があって、布製の乳房と洗米とを奉納して祈願する。 岡山市の「乳房神社」も、布製の乳房状のものを小額面につけて奉納する。 千葉の印旛郡では、乳汁が出るようにと祈って木製の槌を奉納する。 |
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「北山不動」 | 大阪太平寺 |
名医北山寿安の墓であるが、これに参拝して眼病の治癒を祈願する。 東京牛込の「薬師堂」へは眼病平癒を祈るために草刈籠の絵馬を奉納する。 和歌山の「逆松神社」では、松を逆さまに画いた絵馬を奉納して逆さ睫毛の治癒を祈る。 |
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