(1)

 空を往く雲に尋ぬる旅先を
      我の郷なら母に無事ぞと


 焚き捨てる手紙の煙眼に染みて
      溢れる涙そっと噛みしむ


 バス降りて下る坂道郷の道
      今は懐かし砂ぼこりかな


 路往かば付いて来るなり影法師
      供に歩こう夜更けの街を


 夏過ぎて実りの季節近寄りて
      稲穂に揺れる赤トンボかな
    

 梅雨入りの晴れぬ空見て嘆けども
      野には花咲き山は緑ぞ


 風清か揺れる葉陰に耳澄ませ
      そっと眠ろう木漏れ日の下


 流れ往く時の速さの果敢無さは
      闇夜に光る星の瞬き


 夢に見る楽しき恋を気紛れに
      抱きて見れば唯の憧れ


 故郷の静寂の中の優しさは
      自然に潜む神の御意志か


 下草に想い起こせり夏の日の
      うつらうつらの夢枕かな


 ノート拠り古き言葉を探し出し
      遠き憧れ求め
さ迷う


 寂しさに古きアルバム手に取りて
      昔の友の懐かしきかな


 果敢無さに時の流れに逆らえど
      虚しく無くす我の心を


 風渡りススキ揺れてる峠路を
      漫ろ身に染む秋の夕暮れ


 ふるさとの橋のたもとに腰おろし
      幼き頃の初恋偲ぶ


 咲き誇るつつじの花の艶やかさ
      皐月の空に映えて揺らぎぬ


 瞬ける夜空の星を見上げれば
      神のささやき伝え来るかも


 擦り抜ける風のささやき耳にして
      ひとり佗む川面の辺り


 風涼し苔生す路の夏木立
      ふと振返り蝉に聞き入る


 雲深き梅雨空見れば果てし無く
      故郷繋ぐ真綿橋かな


 静寂なる夜更けの街に降る雨の
      窓打つ音に想いが揺れる


 我母校昔の蔭り今は無く
      見渡す山に思い出語る


 涼しげな虚空に浮かぶ雲なれど
      唯さ迷いて流れ往きける


 暑き日の風に流るる風鈴の
      音色清かに渡りて響く


 葉隠れに飛び交う虫の鳴き声に
      通り過ぎ往く夏を偲ばん


 雨雲の垂るる夜空のざわめきは
      共に連れ来た風のいたずら


 風受けてそよぐ若葉の海原に
      空往く雲の影が映りぬ


 ただ過ごす若き生命のその時を
      生きる糧さえ何も知らずに


 風薫る皐月の空は海の色
      今にも聞こゆ小波の音


 霞みける朝の堤防ゆらゆらと
      人の行き交う影が浮かびぬ


   さらさらと流るる風に誘われて
        遠き田舎の野山を想う

   暮れ残るわびしき空の光景に
        暫し足止め虚ろに眺む


 文明の果敢無き進歩追い掛けて
      疲れ果てたる人々の顔

    
 蕩蕩と青き空往く雲見れば
      遠く果て無き旅に誘わる


 鳴き頻る虫のざわめき涼し気に
      夜風に乗りて風鈴揺らす


 静寂なる時の流れに身を任せ
    今日を流れて明日をさまよう


 酒に酔い寂しき心紛らわし
    醒めれば虚し我が身なりけり


 面影を心に抱き物想う
      昔の恋の果敢無き事を


 黄昏に忍ぶあなたの面影を
    川面に浮かべそっとたたずむ


 恋愛は時の流れと裏表
    消えるともなきかげろうの如し


 細波の寄せる如くに苦しみの
      寄せる如くは人の運命ぞ


 切れ切れに流れ往きける渡り雲
      明日の行方は風のまにまに


 寂しさに時の流れにひざまずき
      明日の生命の糧を願わむ


 文明を喜び掴み手に捕りて
      浸りて見れば心忘るる


 色付きし木の葉揺さぶり吹く風の
      わびしき音に我を語りぬ

   

[Link] 生キャラメル 販売
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送