(2)


運命なる糸に引かれて彷徨ば
夢に忍びし乙女ぞ前に


寄添いて歩く彼等を見返れば
雨の歩道が寂しく映る


汐風に乱れし髪を掻き撫でて
そっと頬寄せ君を抱きしむ


ふるさとに咲きし野菊の君なれど
時の流れに圧され散るかも


果敢なくも君は遥けき空の星
されど往きたしこの身引き裂き


うららかな春の陽射しの柔らかさ
我が恋人の胸の内かな


人間の弱き心の訪れは
闇に潜みし孤独の誘い


水田の掘り返された土にさえ
柔らかきかな春の香りぞ


一輪の挿したる薔薇の明るさに
忍びし恋の想いが募る


静寂なる闇夜の中に佇めば
密かに聞こゆ精なる響き


霧雨に偲ぶあなたの面影を
垂れる雫に浮かべて想う


雨垂れの寂しき音と添い寝して
夜の闇間に面影浮かぶ


悲しくも揺れる心に帆を掛けて
そっと旅立つ波間の中を


夏風のさらさら流る並木道
心地良きかな若葉の香り


生まれ来て死ぬる事のみ考えて
無駄な月日を送りて生きぬ


夏草の青き香りに包まれて
空往く雲に故郷尋ぬ


青々と苗の伸び往く田の畦に
喉を鳴らして蛙が騒ぐ


夏の空曇りて浮かぶ月影に
いつの間にやら雨の訪れ


堤防の土手に腰掛け糸垂れて
釣れず腐ってうとうと眠る


山並の谷間流るる夏井川
昔偲べば初恋悲し


釣り人の行交う様に足止めて
故郷に居る父を気遣う


近郊の田畑無くなり家の波
老いし農夫の嘆きが響く


少女等の通り行き交う姿見て
淡き心の過去を偲ばん


苔生した古刹訪ねて人の往く
道無き道は今は無かりし


子供等を試験地獄に突き落とし
知らぬと親は世間を恨む


塾通い重き鞄にとぼとぼと
夢無き顔で首垂れ往きぬ


遣る瀬無き大人のエゴで塾通い
親はごろ寝で子供ぞ哀れ


今の世は試験試験で罷り来て
子供狂わし親をも狂う


童歌聞けば懐かし母の背が
今は聞かれぬ子等の口から


物干しに滴る水の爽やかさ
風に流れて涼しさ誘う


蒸し暑い夏の夜空に輝ける
冷たく光る星を眺むる


さざ波に揺られ洗われゆらゆらと
踊る白砂浮世の人ぞ


恋し人花火の光に頬染めて
微笑む面影今も残りぬ


塩辛い肌を流るる夏の汗
水を飲み飲み今日を過ごさん


浴衣着て微笑む人と下駄鳴らし
漫ろ祭りの夜店巡りぬ


恋人と夜行列車に飛び乗りて
語りて往かぬ故郷への旅


人生に揉まれ苦しみ叫びつつ
荒ぶ心に遣る瀬無きかな


生命燃ゆただひたすらに生きる為
地に戻りつつ心を焦がす


ブランコに一人揺られし公園で
恋人達が眩しく見ゆる


夏に咲く海辺の恋の果敢なさは
燃えて消え往く花火の如し


闇走る冷たき風の行く先は
死に往く人の家路流るる


手紙来て嬉しく偲ぶ父母の顔
そっと開けば里の香りが


風船を手に持つ子等の幸せは
胸ふくらます明日への夢か


雑踏を歩けば寂し一人きり
そっと抜け出し往く裏通り


偽れぬ心の奥のすきま風
冷たく吹きて生命枯らしむ


ひとり住む心の孤独重たげに
肩に掛かりて頭低るらす


時流れ速き事ぞと惑いれば
何も持ち居ぬ我が身に気付く


道に咲く野菊の花を手に取りて
丘に眠りぬ祖母を訪ぬる


友去りて都会の空にただひとり
孤独連れ添い夢見て生きる


運命なる迷いの糸の果て無さに
疲れて眠る恋人の胸に


人の世に生まれて来ても甲斐無くて
残りて積もる重き煩い


秋風に寂しき心揺れ動き
通り縋りの女に恋しぬ


我が心闇から闇へ空回り
いつか溺れる時の流れに


苦き恋時の流れに身を寄せば
淡く沈みぬ心の襞に


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